誰かあの本を知らないか

読むことについて書かれた作文ブログ。

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大久保利謙『明六社』読み物ふうの人物紹介

明六社 明治6年にできたから明六社という。 横文字の専門家のあつまりだからと言って、妙な片仮名を使わなかったのはよかった。 この明六社が出版した雑誌を『明六雑誌』という。 「社」が「雑誌」を「出版」する草分けである。旧四六判という小冊子の体裁も…

大塚英志『日本がバカだから戦争に負けた』遅れたファン・レター

たとえば、芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫と並べてみる。 近代文学史は言ってみれば、「私」をめぐる冒険、である。 その昔、柄谷行人が「他者」と呼んだものを、筆者の知能で正確に理解することは難しいが、「私」から外へ出ていった先で出会うもの、なら…

金子光晴『人間の悲劇』SF小説から

SF小説が苦手である。嫌いではなく苦手。科学的な脳みそをどうやら備えていないらしい。筆者みずから、おのれの頭の悪さに呆れる、そんな作文である。 そんな中でも、再読はおろか幾たびも読み返しているのが、ダン・シモンズの『ハイペリオン』である。『ハ…

誰かこの本を知らないか【5冊紹介】時代小説ほか

文学史をたどり直そうという、まあまあだいぶ無謀な試みをしているので、かならずしもそれに含まれない本も多い。 それで思い出したように消化しきれない本を紹介する。筆者の備忘録とも言う。 今回は時代小説、ほか。 司馬遼太郎『国盗り物語』 宮城谷昌光…

ラガッシュ『狼と西洋文明』オオカミの社会史

前回の『鉛筆紀聞』でさらっと流して書いたが、 dokusyonohito.hatenablog.com 【国内法】 商人が刀剣や鉄砲を所持することはあるのか。殺人窃盗等の犯罪に関する法律。*パリ郊外において無届の銃使用の禁止のこと。 原文*1は以下のようになる。 「私に刀剣…

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誰かこの本を知らないか【5冊紹介】

プロレタリア文学とか言っていると、じぶんが何時代のにんげんか怪しくなってくるので、今回はちょっと違うことを書く。 毎日、小説の胡乱な感想を書いているから、筆者が小説好き、下手のもの好きだと思われるかもしれないが、そうでもない。前にもいったが…

読書術

「読書術」こんなタイトルの記事や書籍は多い。どれも素晴らしい内容が記してあると思う。読んだことはないから思うだけではある。 早わかり、なんてのも多い。結論をはじめに言うが、人間は早わからないものである。 早くわかれば、早く忘れる。また覚えら…

野中広務 辛淑玉『差別と日本人』悪人

野中広務 辛淑玉『差別と日本人』角川oneテーマ21(2009.6.10初版発行) この世に悪人はいるであろうか。人がひとりでは生きられない以上、必ず善人でさえ悪人とも手を結ぶしかないとすれば、それは悪人であろうか。それは善人であろうか。

黒い奥

人間は人間を恐れているのではないかと思って、古本を何冊か買った。いずれも世に知られた事件を扱ったものである。事件の詳細はだれでも調べられるであろうから省く。発行は2009年から2013年の間。昨日のような昔。

村田らむ『ホームレス消滅』ルポルタージュと良心

村田らむ『ホームレス消滅』幻冬舎(2020.5.28) 本書によれば、「ホームレス問題」は第一義には当然、社会弱者が困窮している状態を、同胞として見過ごすべきではなく、また社会の成員として労働と納税によって国家に参与させるべきだという、道義と法律に…

鈴木伸元『加害者家族』共感と想像力と好奇心

鈴木伸元『加害者家族』幻冬舎(2010.11.27初版) ルポルタージュの価値は、核心に迫ることではない。真実を伝えるとか、世論に訴えるとか、まして警鐘を鳴らすなんてことでもない。著者という責任主体者が、好奇心という野次馬根性といかに渡りあって、対決…

澤田晃宏『ルポ技能実習生』明るい人生

澤田晃宏『ルポ技能実習生』 絶望と、ほんのすこしの希望が、ないまぜになる、そんなルポルタージュである。 東京ばかりでなく、地方都市でも見かける技能実習生。本書は、特にベトナムからの技能実習生について書かれている。