誰かあの本を知らないか

読むことについて書かれた作文ブログ。

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櫻田百衛『西洋血潮小暴風』明治14年の政変

百華園主人 ジョゼフ・バルサモ 翻案の政治小説 民権運動と民衆 明治14年の政変 百華園主人 櫻田百衛、生年は安政4年とも6年とも云う*1。岡山に生まれ、上京して東京外国語学校にドイツ語を学んだが中退し、自由民権運動に身を投じた。さくらだももえ、と訓…

吉村昭『漂流』古今無用の人生

鳥島 漂流の理由 アメリカの捕鯨 『漂流』 鳥島 伊豆半島から南東に向かって太平洋上、伊豆諸島がある。 百余りの島嶼からなるその南端ちかくに浮かぶ鳥島は、その名のとおり鳥の島である。アホウドリの繁殖地として知られているが、植生は貧しい。若い火山…

戸田欽堂『情海波瀾』はじまりの政治小説

あらすじ 成島柳北 福沢諭吉 佐倉宗五郎 長沼事件 明治14年の政変 『情海波瀾』は戸田欽堂の政治小説。 タイトルに「はじまり」とつけたのは明治文学の研究者柳田泉がそう言っているからで、筆者に定見があるわけではない。へりくつを言えば、一番とか嚆矢と…

村上春樹『タクシーに乗った男』移動の時代

久しぶりなので短いものを書く。 以前に村上春樹『タクシーに乗った男』をめぐって「共感とプラハの春」と題して書いた。書くには書いたが、タイトルにもある「タクシー」について回収していなかった。 dokusyonohito.hatenablog.com dokusyonohito.hatenabl…

井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』海上の道

井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』をめぐって

ディドロ、ダランベール『百科全書』明六社の解散

前回の最後に、福沢諭吉の「苦渋」と書いた。 ジャーナリストで思想家で教育者で、さまざまな肩書をもつ福沢だが、本業は学校経営者である。 念頭に、緒方洪庵とその適塾があったことは『福翁自伝』からもうかがいしれる。幕末、官軍東征の際ですら、一日も…

司馬遼太郎『歳月』小説みたいな感想

言わずと知れた江藤新平伝である。 いぜん筆者は、司馬遼太郎は時代小説家ではあるが歴史小説家ではないと書いた。 いまさら改める気はないものの、『歳月』は歴史小説に読める。 剣劇のたぐいが入ってしまうのは時代小説のお約束だから、言うだけ野暮だ。 …

大久保利謙『明六社』読み物ふうの人物紹介

明六社 明治6年にできたから明六社という。 横文字の専門家のあつまりだからと言って、妙な片仮名を使わなかったのはよかった。 この明六社が出版した雑誌を『明六雑誌』という。 「社」が「雑誌」を「出版」する草分けである。旧四六判という小冊子の体裁も…